独立系FPの副業でよくある失敗とその対策

未経験から独立系FP(ファイナンシャルプランナー)を育成するワンクエスト代表の井 章弥です。
僕が10年間、独立系FPを育成するなかで、多くの人が同じような失敗を繰り返すのを見てきました。特に副業として始めた人が最初の数ヶ月でつまずくケースが目立ちます。
今回は僕自身のFP活動や育成の実体験をベースに「独立系FPの副業でよくある失敗とその対策」についてお伝えします。
独立系FPの副業に興味のある方、実際に活動をはじめて苦戦している方にとって、役立つ内容となっています。ぜひ最後までお付き合いください。
初心者がつまずきやすいポイントを知っておこう
僕や生徒たちの経験を踏まえると、以下のような行動や心理パターンで失敗する人が多いです。
失敗①:自己満足の提案になってしまう
失敗②:営業が苦手で動けない
失敗③:無料相談だけで終わってしまう
失敗④:時間管理ができず疲弊する
独立系FPビジネスを誰からも学ばずに取り組むと、多くの人がこの4つの失敗パターンに至って挫折してしまいます。
これら4つの失敗を防ぐために、僕が実践してきた考え方や具体的な対策をお伝えします。
失敗①:自己満足の提案になってしまう
多くの人が、知らず知らずのうちに「自分よがりな提案」をしてしまい、顧客からの信頼を得られずに終わってしまいます。
自分が良いと思ったプランでも、相手の性格や価値観、ライフプランに合わないことはよくあります。
たとえば、FPとして「保険は最低限でいい」と考えていても、顧客は「安心のためなら高い保険料を払ってもいい」と思っていることもあります。そんな気持ちを無視して、保障を削ったプランを出すと、当然納得は得られません。
これは保険に限らず、資産運用や住宅購入といった場面でもよくあることです。だからこそ、提案の前に相手の価値観をじっくり理解することが欠かせません。
対策
この失敗を防ぐには、まず「相手の価値観を知ること」が何より大切です。
どんな背景があり、どこに困っていて、どんな未来を描いているのか。そこを聞かずに「これが正解です」と言ってしまえば、信頼は得られません。
大事なのは「事実」と「意見」をしっかり分けて考えることです。
・事実:年収、資産、家族構成など、客観的な情報
・意見:それらの事実に対して、どう感じているか、どうしたいか
この順番で面談を進めていけば、自己満足の提案にはなりません。
① 顧客の「事実」を聞く
② 顧客の「意見」を聞く
③ FPが「事実」を伝える
④ FPが「意見」を伝える
この順序を守らず、FPが先に意見を言ってしまうと、顧客に拒絶されてしまう可能性があります。
まずは「この人は自分のことをちゃんと理解してくれた」と思ってもらうこと。その信頼を土台にして、意見を伝えていくことが大切です。
失敗②:営業が苦手で動けない
金融の知識を学ぶのは好きだけど、話すのが得意ではなく「人に売ること」に抵抗を感じている人が多い印象です。
でも、実際には多くが誤解です。「営業=押し売り」という思い込みが、無意識のうちに行動を止めていることが多いのです。
対策
営業が苦手だと感じる理由は、大きく分けて2つあります。「コミュニケーションに自信がない」と「提案して嫌われるのが怖い」の2つです。
▼コミュニケーションに自信がない
FPの仕事は、もともと論理的に考えて伝えることが基本です。言葉のセンスや話し上手である必要はなく、順序と構成を意識すれば十分に伝わります。
そして何より大事なのは、安心感を与えることです。お金という見えないものを扱うからこそ、「よくしゃべる人」よりも「誠実に見える人」の方が信頼されやすいです。実際、独立系FPとして成果を出している人は、落ち着いて話すタイプが多いです。
▼提案して嫌われるのが怖い
この不安の正体は、「売り込まなきゃいけない」という思い込みです。
でも、相手の価値観を否定しないように提案すれば、断られることはあっても嫌われることはまずありません。無理に説得する必要もないし、押しつける必要もありません。
「相手に役立つことを、わかりやすく伝える」それだけで十分です。
僕自身、地元の友人たちにFPとして提案をしたことがありますが、顧客になった人もそうでない人も、今でも普通につきあいが続いています。むしろ「相談してよかった」と言われることの方が多いです。
失敗③:無料相談だけで終わってしまう
独立系FPのビジネスでは、顧客の心理的なハードルを下げるために、最初の相談は「無料」で設定する人が多いです。
でもビジネスとしてFP活動をしていくためには、しっかりと「次」へ繋げる必要があります。これは戦略的に設計しなければ、無料相談で終わってしまうことが多いので注意が必要です。
対策
▼「相談者と仲良くなる」こと
僕は初回面談で相手の人生観や価値観を深く聞くようにして、共感できるポイントを常に探しています。
金融知識で相談者の課題を解決してあげることと同じくらいに、信頼関係を築くことが大切です。「この人とまた話したい」と思ってもらえるようなコミュニケーションを取りましょう。
▼「自己紹介の質」をあげること
僕は自己紹介の中に「なぜFPになったのか」と「どんな価値を提供できるのか」を必ず入れています。相手の感情に触れるストーリーがあると、心を開いてもらいやすくなるからです。
初回面談の成否は自己紹介でほぼ決まると言っても過言ではありません。それくらいに「どんな人が話しているか」は印象を左右します。
▼初回面談で「得をさせる」こと
僕は毎回、相談者がその日から使える具体的なノウハウを必ず一つ提示しています。
たとえば「◯◯さんの場合、保険を見直すと総支払が100万円以上変わります。具体的には〜」と伝えると、多くの人が感動します。そして「保険以外の分野も相談したい!」となり、継続の話に繋がるのです。
失敗④:時間管理ができず疲弊する
生活を豊かにしたくて始めたはずの副業なのに、気づけば時間に追われて精神的に疲れてしまう…。これは副業を始めた人によくある話です。
僕自身も会社員時代にFPの副業をしていた経験があります。その中で試行錯誤して見つけた、時間管理の方法をお伝えします。
対策
まずやるべきなのは「FP活動に使う時間をあらかじめ決めておくこと」です。
僕は副業時代、平日の夜に1時間、週末に4時間をFP活動に充てると決めて取り組んでいました。これを決めることで、その時間を捻出しようと脳が考え始めます。
次に大事なのは「無駄な時間を減らすこと」です。1日は24時間しかないので、何かを減らさずに副業を始めたら、時間が足りなくなるのは当然です。
たとえば、残業が多い、誘いを断れず毎週飲みに行っている、SNSをなんとなく眺めてしまう。こういった時間を見直すだけで、1日1〜2時間は簡単に確保できます。
そしてもうひとつ、「朝と夜の習慣を整える」ことも効果的です。多くの人は寝る前にスマホを見ていますが、副業時代の僕はその時間を読書に変えました。朝も少し早起きして、FP活動にあてるようにしました。
時間の使い方が整うと、結果が出るまでのスピードも変わってきます。そして成果が見え始めると、FP活動はただの作業ではなく「楽しい時間」になっていきます。
いかがでしたか?
今回は、副業で独立系FPを始める人がつまずきやすい4つの失敗と、その対策についてお伝えしました。
これらは、僕自身や多くの生徒が実際に経験してきた失敗です。でも、正しい考え方とやり方を知っていれば、どれも防ぐことができます。
もし独立系FPの副業に興味のある場合は、ぜひ他の記事もご覧になってみてください。
また、「未経験から独立系FPを育成する講座」の新規受講者も募集しております。僕や実際に独立系FPとして活躍する先輩が相談に乗りますので、ご興味のある方はお気軽にカウンセリングフォームからお申し込みください。