独立系FPに必要な5つの実務スキル

未経験から独立系FP(ファイナンシャルプランナー)を育成するワンクエスト代表の井 章弥です。
僕自身、独立系FPをはじめて10年目になりましたが、この仕事は未経験からはじめました。最初は何をしていいのかわからず、たくさん遠回りをしました。
今回の記事では、独立系FPを目指す人が「最初に何のスキルを身につければ良いのか?」を迷わないのように、独立系FPに必要な実務スキルをお伝えします。
FP技能士の資格を取っている方や、これからフリーランスとしてFPの道を選ぼうとしている方には役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までお付き合いください。
"プロ"としてのスキルが求められる
独立系FPは「お金のプロ」として見られています。これは、想像以上に重たい意味を持ちます。
お金は、人生のあらゆる選択に関わってきます。だからこそ、相談者は厳しい目で僕たちを見ています。
金融知識があるのは大前提。そのうえで相談者は、知識以上の「安心感」や「信頼」を求めています。
実際に相談を受けていると「この人は信頼できるのか」「私のことを真剣に考えてくれるだろうか」という部分が最初に見られているように感じます。つまり、対応の丁寧さや言葉の選び方、表情や雰囲気まで含めて評価されるんです。
僕も独立して間もない頃は「解決策をお伝えすれば大丈夫だろう」と思っていました。でも実際には、それだけでは心を開いてもらえませんでした。
そこで僕は金融知識以外でも、あらゆる知識とスキルを身につけてきました。その中でも特に重要なのが次の4つです。
・ヒアリング力
・提案力
・信頼構築力
・ビジネススキル
これらは、現場で何度も失敗しながら身につけてきたものです。そして、どれも特別な才能は必要ありません。正しく学んでいけば、誰でも後天的に身につけられるスキルです。
スキル①:ヒアリング力
ヒアリング力がなければ、的外れな提案をしてしまいます。一度でも相談者に違和感を持たれたら、信頼関係は一気に崩れます。
僕が独立系FPの仕事をはじめたての時は、相手の話を聞いているつもりで、自分が聞きたいことばかり質問していたなと反省しています。それでは本当の悩みは見えてきません。
例えば、「家計の見直しをしたい」と言われたとき、いきなり「毎月の支出はいくらですか?」と聞くと構えられることが多くありました。
そこで僕は「家計を見直そうと思われたきっかけは何でしたか?」と相談の目的を最初に聞くようにしました。すると、相談者から「本当の悩み」が自然と出てくるようになったんです。
また、相談者がうまく言葉にできないときには「例えばこういうことでしょうか?」とこちらから具体例を出すと、相手も話しやすくなることが多くありました。
ヒアリング力とは、相手の本音を引き出す力です。何をどう聞くか、どの順番で聞くか。それによって、得られる情報の質が変わります。ヒアリング力によってコンサルティングの質は大きく変わります。
スキル②:提案力
提案に関しても、スキルを磨いていく必要があります。
僕が最初によくやってしまった失敗は「ググったら出てくるような答えを述べてしまうこと」でした。
住宅ローンの相談で、金利や返済方法について説明したあとに「で、どうすればいいんでしょうか?」と相談者に言われたことがありました。そのとき、僕はハッとしました。
相談者も基本的な情報はネットで調べたうえで、独立系FPの相談に申し込んでいます。つまり、相談者は情報が欲しいのではなく、自分の状況に合った「選び方」を知りたがっているのです。
そして、さらに大事な考え方は、独立系FPの主観を取り除いて、相手に寄り添りそった提案をすることです。「自分だったらこうする」という視点ではなく、「この人にとって何がベストか」を一緒に考える必要があります。
そのために、まず事実を整理します。収入、支出、貯蓄、将来の希望など、数字をベースにした情報をロジカルに分析します。
次に、その整理した情報をもとに「こういう選択肢があります」といくつか方向性を提示します。このときも、いきなり言い切らずに「こういう考え方もあります」と伝えるようにしています。
最後に、自分の意見を少しずつ伝えていきます。「私ならこう考えますが、どう思われますか?」と投げかけることで、相談者自身が納得しながら選べるようになります。
提案とは、押しつけるものではありません。相談者と一緒に答えをつくっていくものです。だからこそ、冷静な分析と寄り添う姿勢の両方が求められます。
スキル③:信頼構築力
信頼関係を構築できていなければ、どれだけ良い提案をしても響きません。お金の相談は、とても繊細な話だからです。
挨拶や言葉づかい、返信の早さ、約束を守る姿勢など、小さな積み重ねがすべて信頼につながっています。
たとえば、ある相談者から初回の面談後に「質問をまとめたので見てください」と連絡がありました。僕はすぐに長文でお答えしました。たったそれだけで感動してくださり、その方からご家族やご友人の紹介が続いたことがあります。信頼とはそういった小さな積み重ねなのです。
また、信頼は「話しやすさ」にも表れます。独立系FPの態度によって、相談者は本音を話せるかどうかが変わります。「こんなこと聞いてもいいのかな」と思われたら、信頼関係は築けません。
だからこそ、安心できる雰囲気づくりが大切です。声のトーン、表情、うなずき方、すべてが「この人なら話せる」と思ってもらえるかに関係しています。
人と人が関わり合うビジネスなので、信頼構築力は必須のスキルです。
スキル④:ビジネススキル
独立系FPの現場では、ビジネススキルも求められます。「この人、仕事できないな」と思われたら、それ以降頼られることはありません。
まず絶対に欠かせないのが「ITスキル」です。
説明資料や比較表を作成するためのパワーポイントやエクセルのスキルは必須です。それに加え、タイピング速度を上げたり、ショートカットキーを覚えることも重要です。コンサルティング時にパソコン操作でもたついていたら、信用を失う可能性があります。
次に必要なのが「情報収集スキル」です。独立系FPは経済ニュースに敏感でなければいけません。相談者の方が経済に詳しかった場合、信用を失うからです。信頼できる情報サイトから知識を得て、「自分はどう思うか?」を日々考えていきましょう。
ちなみに、ワンクエストでは「究極のワークルール」というマニュアルを作り、独立系FPをはじめたての方にも徹底的にビジネスキルを叩き込んでいます。
独立系FPは、一人で仕事を進める場面も多くなります。だからこそ、あらゆるビジネススキルがなければ活躍できません。
いかがでしたか?
独立系FPはあらゆるスキルが求められます。でも心配する必要はなく、すべて「後天的に身につけられるもの」です。ワンクエストの独立系FP仲間たちも今回紹介したスキルを後天的に身につけています。
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