独立系FP(ファイナンシャルプランナー)は記事執筆で稼げるのか?

未経験から独立系FP(ファイナンシャルプランナー)を育成するワンクエスト代表の井 章弥です。
僕はこれまで、ファイナンシャルプランナーとして相談業務を行う一方で、金融や家計に関する記事も執筆してきました。はじめは文章の書き方もわからず、試行錯誤の連続でしたが、その中で見えてきた現実や工夫すべきポイントがあります。
その経験をもとに、今回は「記事執筆で本当に稼げるのか?」という疑問にお答えします。
FP技能士の資格を取っている方や、これからフリーランスとしてFPの道を選ぼうとしている方には役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までお付き合いください。
案件はどうやって獲得する?初心者FPがつまずくポイント
初心者FPが最初につまずくのは、案件の取り方です。実際、僕も初めて記事を書こうと思ったとき、どこで仕事を探せばいいのかすら分かりませんでした。
まず知っておくべきことは、信頼がないと仕事は来ないという現実です。たとえば、僕が初めてクラウド系の募集に応募したときは、10件送って返信が来たのは1件だけでした。
では、どうやって実績がない状態から案件を取るのか。ここで必要になるのが、専門性と提案力です。僕が転機を迎えたのは、「ただ書けます」と言うのではなく、「FP資格を持っていて、家計管理や保険の見直しの経験があります」と具体的に伝えたときでした。
相手が求めているのは「何が書けるか」ではなく「どんな視点で書けるか」です。特にFPとしての資格や実務経験があれば、それを前面に出すことで案件につながりやすくなります。
僕がワンクエストで指導している受講生たちにも、「まずは自分の体験を棚卸ししよう」と伝えています。過去の職歴、資格取得のエピソード、家計の見直し経験など、書ける素材は意外と多いものです。
つまり、初心者FPが最初にやるべきことは、「案件を探す」前に「自分を売り込む準備をする」ことです。ここを飛ばしてしまうと、いくら応募しても通りません。
文章力だけでは限界がある?執筆で評価されるFPの特徴
評価されるFPライターに共通しているのは、文章力ではなく「体験に基づいた具体性」です。僕自身、文章力だけで勝負しようとしていた頃は、なかなか単価が上がりませんでした。
たとえば、保険の見直しに関する記事を書くとき、一般的な情報だけで構成すると、読者の心には響きません。ですが、僕が実際に相談を受けたお客さまの話や、自分自身が保険を見直した体験を交えると、「それ、うちと同じ状況です」と反応が返ってきたんです。
最近ではAIでも読みやすい文章が書けます。ですがAIには、現場での温度感や、お客さまの言葉の重みは再現できません。つまり、人にしか書けないのは「実感のこもった言葉」です。
実際、あるクライアントから「他のライターと違って、自分の言葉で書いてるのが伝わる」と言われたことがあります。それ以降、その会社とは長く付き合うことができました。
こうした体験を積むには、執筆以外の現場にも出ることが重要です。僕が実務にこだわるのはそのためです。相談を受け、現実を見て、自分の考えを持つ。そうやって書いた文章には、誰にもまねできない説得力があります。
FPとして評価されたいなら、文章の技術を磨く前に、まずは「経験を積むこと」に力を入れてください。それが、あなたにしか書けない文章をつくる第一歩になります。
継続案件は稀?書き続けても収入が増えない理由
記事を書き続けても、収入がなかなか増えない理由は「継続案件が取りにくい」ことにあります。僕も最初のころは、単発の依頼ばかりで毎回新しいクライアントを探していました。
単発で終わってしまう原因には「依頼された通りに書くだけ」で終わっているケースもあります。自分の提案を出さないと、ただの作業者として見られてしまいます。僕もある時から「構成から考えてみよう」とやり方を変えたら、同じクライアントから何度も依頼されるようになりました。
継続案件を増やすには「この人に頼めば安心」と思ってもらうことが大切です。そのためには、納期を守る、やり取りが丁寧、専門性がある、といった基本は欠かせません。
しかし、それ以上に価値を出そうとする意識が大切です。いつまでも単発の仕事に追われることのないように、継続的に依頼される工夫をしていきましょう。
文字単価はいくら?FPライターとしての収入の現実
FPとして記事執筆で収入を得たいと考えたとき、まず気になるのが文字単価です。実際のところ、思ったよりも高くはありません。
僕が初めて受けた案件は、1文字0.8円で、2千文字の記事でした。報酬は1600円でしたが、構成を考えて、調べて、推敲していたら、半日かかりました。時給にすると数百円です。
一般的に、未経験者が最初に受けられる単価は1文字0.5円前後が多いです。経験を積んでも、すぐに2円や3円になるわけではありません。僕も単価を上げるまでに何十本も記事を書きました。
また、専門性があるからといって必ずしも高単価になるわけではないのも事実です。金融系は内容が専門的な割に、報酬が低めに設定されていることが多いです。理由は、ライターの数が増えているからです。
月に10本記事を書いても、報酬はせいぜい5万円から10万円が限界です。実際、僕のまわりの独立系FPでも、執筆だけで生活できている人はいません。
つまり、記事執筆は本業として取り組むには不安定で、時間と労力に対する報酬のバランスが合いにくい仕事です。
実績づくりには役立つが、生活費は賄えない
記事執筆は、ファイナンシャルプランナーとしての実績づくりにはとても効果的です。しかし、生活費をまかなうには厳しい面があります。僕自身も最初は「これで食べていこう」と思っていましたが、すぐに限界に気づきました。
ただ、記事を書いて名前が出ることで信用がついたのは大きかったです。僕が金融メディアに名前付きで掲載されたとき、相談者から「記事を読みました」と言ってもらえた経験もあります。こうした実績が、後の仕事に繋がっていきました。
だからこそ、執筆は「手段」として捉えるべきです。「これだけで食べていく」ではなく、「他の収入につなげる入り口」として考える必要があります。僕は執筆をきっかけに、講座や相談業務へ広げていきました。
もし今、記事執筆に取り組んでいるなら、次の戦略を同時に考えることをおすすめします。書くことで信頼を積み上げ、その信用を活かして別のサービスを提供する。これが、現実的な道だと思います。
いかがでしたか?
独立系FPとして記事執筆で稼ぐことは可能です。実際のコンサルティングの体験談には、今もニーズがあります。でも、単価は低く、今後はAIの台頭でさらに競争が激しくなります。収入を増やすためには、執筆以外の柱を持つ必要があります。
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