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独立系FP(お金の先生)という生き方

独立系FPがSNS発信で意識すべきこと

未経験から独立系FP(ファイナンシャルプランナー)を育成するワンクエスト代表の井 章弥です。

この記事では、僕が独立系FPとして約10年間、現場で培ってきたリアルな経験をもとに「独立系FPのSNS発信」をテーマに解説していきます。

僕自身、多くのお客様と関わってきた中で強く感じるのが「SNSでの発信力」はビジネスの成長に直結するということです。特にここ数年、集客の中心はチラシでも紹介でもなく、個人の情報発信になりました。

SNSでの発信を通じて自分の価値観や専門性を届けることで、見込み顧客からのお問い合わせが増えています。これは、今の独立系FP業界での大きなトレンドでもあります。

ただ、「とにかく発信すればいい」というわけではありません。実際には、方向性のない投稿を繰り返しても、時間だけが過ぎていき、手応えを得られずに疲弊してしまう方も多いです。

FP技能士の資格を取っている方や、これからフリーランスとしてFPの道を選ぼうとしている方には役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までお付き合いください。

ターゲットを絞る

SNS発信を始める上で、まず最初にやるべきことは「誰に向けて発信するか」を明確にすることです。

「お金に悩んでいる人なら誰でも歓迎です!」というスタンスでは、なかなか届きません。なぜなら、情報があふれている現代では「私のための情報だ」と感じてもらえない限り、人は立ち止まってくれないからです。

▼ターゲットの例
・30代で共働きの家庭を持つ会社員
・教育費が気になりはじめた小学生の子を持つ親
・独立、起業を考えているフリーランス
・資産形成を始めたい20代独身の社会人

どれも同じ「お金の悩み」を抱える層ですが、ライフステージも関心も異なります。伝えるべき内容や言葉遣い、事例の出し方も変わってきます。

「ターゲットを絞ると、他の人に刺さらなくなるのでは…?」と不安に思う方も多いですが、最初は「仮決め」でも構いません。実際に発信してみて反応を見ながら、ターゲット像を調整していきましょう。

発信における迷走の多くは、ターゲットを決めずに始めてしまうことに起因します。まずは1人の顔が思い浮かぶような「具体的なターゲット」を定めてみましょう。

「安心感」を作る

SNSで見込み客との信頼関係を築くうえで欠かせないのが「この人なら相談しても大丈夫そう」と思ってもらう安心感です。金融やお金の話は非常にセンシティブな分野ですから、どんなに情報が役立つものであっても「信頼できるかどうか」が判断基準になります。

それでは、どうすればフォロワーに安心感を与えられるのでしょうか?ポイントは主に2つあります。

自己開示:見えない専門家から「信頼できる一人の人」へ

SNSでは、ユーザーは一方的に情報を見るだけの「受け手」であり、発信者とは直接話したこともない、会ったこともない、言ってしまえばただの他人です。

そんな中で、人生やお金というプライベートな悩みを相談しようと思える相手になるには、相手の警戒心を和らげて「この人なら話してみたい」と思ってもらうことが必要です。

このとき重要なのが「自己開示」です。ただし、自分をよく見せる必要はありません。等身大の自分を発信して「この人も人間なんだ」「自分と同じように悩んだことがあるんだ」と感じてもらいましょう。

【自己開示の事例】

①「親が自己破産した経験があります」
子どものころ、家計が苦しく、学校で必要なものを買ってもらえませんでした。お金に不安を感じながら育ったからこそ「人がお金で困らない人生を支えたい」と強く思ってFPになりました。

②「結婚後すぐ、夫婦でお金の価値観が全然合わなくて揉めました」
一緒に暮らすなかで、家計の管理方針や貯金への意識にズレがあり、何度も喧嘩しました。自分自身が「家庭内でお金の会話をする難しさ」を経験したからこそ、夫婦の相談にも深く寄り添えます。

③「元上司から『お前みたいなやつは独立しても無理だ』と言われたことがあります」
それが逆に悔しくて、FPとしてやっていく覚悟が固まりました。順調ではなかったけれど、今はあの言葉が原点になっています。

これらは「言いたくないような過去」や「自分の弱さや葛藤」に関する話です。発信しづらい内容だからこそ、読んだ人の心に刺さり「この人も同じように悩んできたんだ」と思ってもらえます。この「共感と理解」が、SNS発信で最大の安心感につながります。


第三者の声が信頼を後押しする

もう一つ、強力な信頼の材料になるのがお客様の事例や声です。

もちろん、守秘義務には十分配慮しなければいけませんが、実際にFPとしてどのような相談を受け、どんなサポートをし、どんな成果が得られたのかをエピソードベースで紹介することは非常に効果的です。

「子どもの進学費用に不安を感じていた40代ご夫婦のケース」
「iDeCoやNISAに手を出せず悩んでいた30代会社員の方が行動できた理由」
「独立後、毎月の収支が安定したフリーランスの事例」

実名や顔出しが難しい場合でも「◯代の男性」「都内在住の会社員の方」など、属性を伝えるだけでも安心感は伝わります。

また、お客様の感謝の声やアンケート結果なども、テキストで引用するだけで大きな効果があります。「この人は、実際に誰かの役に立っている」ことが伝われば、それだけで強力な信頼につながります。

「差別化」にこだわる

独立系FPとしてSNSで発信する際、多くの人がぶつかる壁があります。それは「他のFPと何が違うのかが伝わらない」という問題です。

同じようなテーマ(NISA、iDeCo、家計管理、保険の見直しなど)を扱うFPは星の数ほどいます。情報の正確さだけでは、大手金融機関や企業アカウントには太刀打ちできません。

だからこそ重要なのが、「何を言うか」ではなく「誰が言うか」で選ばれる存在になる」ことです。

「体験」を語る

自分のストーリーは、唯一無二の武器です。

・家計が赤字だった頃に実際にやってみた節約方法
・自分や家族が加入していた保険の見直しプロセス
・子どもの教育資金をどうやって準備しているか
・フリーランスとして収入が不安定だったときの乗り越え方

こうしたリアルな体験は、実践者だからこそ語れる臨場感と信頼感を持っています。教科書的な解説では得られない、共感と説得力が生まれます。

「思考」を語る

体験と並んで大事なのが、「なぜそう考えるのか」という思考の背景を発信することです。

・なぜ、投資は○○歳までに始めたほうがいいと考えているのか
・なぜ、保険は必要最低限にすべきというスタンスなのか
・なぜ、家計管理は完璧を目指さず「ゆるく続ける」ことを勧めるのか

この「なぜ」に共感してくれる人は、あなたの考え方そのものに信頼を寄せてくれるようになります。

「情報を得るためにフォローする」から、「考え方が好きだからフォローする」に変われば、長期的なファンになってもらえます。

空いているポジションを狙う

SNSで目立つためには、「違い」が必要です。

でも、差別化は必ずしも目立つキャラを作ることではありません。むしろ重要なのは「まだ誰もあまり発信していないポジションを狙う」ことです。

お金系のSNSの発信者を一通り調べ、その中で自分が得意で誰も発信していない内容を考えてみましょう。ニッチな発信になっても構いません。そのジャンルで1番を取れば、ビジネスは十分に展開することができます。

他ジャンルを参考にする

独立系FPとしてSNSで発信を続けていると、
・ネタが尽きてきた…
・同じような投稿になってしまう…
・フォロワーの反応が薄くなってきた…

このようなマンネリ化が生じがちです。それを避けるために有効なのが、他ジャンルからのインプットです。

別の媒体を参考にする

同じお金系アカウントでも、違う媒体を参考にすればパクりとは捉えられづらいです。

たとえば、以下のようなコンテンツを観察するのはおすすめです。

・YouTubeの人気教育系チャンネル(リベ大など)
・人気のブログやnote(ストーリー重視の構成)
・ラジオやPodcast(トークのテンポ感、声のトーン)

これらをよく観察すると、
・話の流れをどう作っているか(起承転結の作り方)
・難しい内容をどう噛み砕いて説明しているか
・タイトルの付け方や「つかみ」の工夫
などの多くの気づきが得られるはずです。

別の分野を参考にする

さらにおすすめなのが、FPとは全く関係のない業界・職種の発信を見てみることです。

◉管理栄養士や整体師の発信
→ 体の「健康」と「お金」の関係性に通じる表現が多く、例え話の参考になる

◉美容師・ネイリストのSNS活用
→ Before / After などのビジュアルや、お客様の変化を見せる手法が参考になる

◉キャリアコンサルタントや心理カウンセラー
→ 対話型・共感型の投稿が多く、「寄り添う発信」のヒントが得られる

こうした異業種の発信から「あ、こういう伝え方もあるんだ!」という発見が生まれ、自分のSNS発信に新しい引き出しが加わります

いかがでしたか?

SNS発信で成果を上げるためには、ただ投稿を続けるだけでは足りません。「誰に」「どんな価値を」「どう伝えるか」を考え続ける姿勢こそが、信頼と成果を生むカギとなります。もし独立系FPに興味のある方は、ぜひ他の記事もご覧になってみてください。

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