未経験から独立系FPで起業した体験談

2018年から独立系FP(ファイナンシャルプランナー)として金融教育の会社を経営している井 章弥です。
このブログでは、未経験から独立系FPを目指す方向けに、ノウハウやリアルな現場の話を発信していますが、今回はちょっと特別編として「僕自身が、未経験から独立系FPとして起業するまでにどんな道のりを歩んできたのか?」について、体験談として赤裸々にお伝えします。
未経験から独立系FPとして起業するまでの具体的なステップや失敗談、そして僕が実際に考えて行動してきたことを赤裸々にお伝えします。これからFPとして独立を目指す人にとって、少しでも参考になれば幸いです。
独立系FPという仕事を知ったきっかけ
僕が独立系FPの仕事を知ったのは2014年、新卒1年目の会社員で当時22歳でした。職場の先輩に誘われた「お金の勉強会」に参加したのがきっかけでした。
当時の日本では今のように金融教育が普及しておらず、若い人向けのお金の勉強会はかなり珍しかったと思います。
その勉強会の中で「複利で資産は増える」「保険は掛け捨てがお得」「不動産投資の仕組み」などを学び、知っているか知らないかの差はこんなに大きいのか..と衝撃を受けたのを覚えています。
その後、講師の方から個別にコンサルティングを受けて、社会人1年目から月5万円の資産形成をはじめました。そして、その翌年の23歳から独立系FPの仕事を始めました。
金融知識の習得方法
独立系FPは副業(個人事業主)から始めたため、平日夜や土日の時間を活用して金融知識を習得しました。
当時はYouTubeや本で正しい金融知識を学べるような環境は整っていなかったため、少額でFX取引をはじめたり、ビットコインを購入してみたり(2016年)、自分の保険を見直したりと、金融知識の多くは実践形式で学んでいきました。
「教える側」が学びを加速させる
金融知識を学ぶ上で、1番やって良かった行動は独立系FPになると決めた2週間後に勉強会を開催したことです。教わる側よりも教える側に立つ方が、知識の吸収が格段に早くなると考えたからです。
当時は熊本から上京して1年しか経っておらず、東京に友達はほとんどいませんでした。そして、オンラインツールも普及していない時代だったので、集客には苦労しました。そんな中でも東京の知り合いのほぼ全員に連絡をして、7人が参加してくれました。
勉強会では日本の経済状況(インフレや社会保障制度)や投資の重要性について話しました。参加者から質問を受け、それを調べて後日答えることを繰り返すことで、自分自身の金融知識はどんどん身についていきました。
また、勉強会に参加した友人たちから「とても勉強になった!」という声を多くもらえたことで、独立系FPとしての道に確信を持つようになりました。
同業者とは積極的に情報交換をする
これは今でも大切にしていることですが、金融においてはインターネットの情報よりも「人から聞く話」を信用するようにしています。ネット上の情報は素人が書いていることも多く、机上の空論が多いからです。
例えば、「S&P500に20年投資し続ければ良い」というような情報をネットで見る機会が増えましたが、金融業界に長くいる僕でさえS&P500に10年以上投資し続けてきた人を見たことがありません。それだけ、ボラティリティ(価格変動)の激しい資産に投資をし続けるのは精神的な負担が大きいということです。
「ワンルームの不動産投資はするな」というネット情報も多かったですが、5年以上前に買っている人の多くは売却益が出ているのが現実です。インフルエンサーの発信する情報も当てにはなりません。
そのため、僕は現場での情報収集を大切にしてきました。実際に投資収入で暮らしている方に会うためにマレーシアやシンガポールに行ったり、FP(保険屋さん・不動産屋さん)とアポイントを取り、提案している商品やそのロジックを聞いたりと、ネットでは学べない情報をたくさん仕入れました。
特に、売れている人(稼いでいる人)の考え方は学びが多かったです。営業が上手いだけの人もいれば、圧倒的な金融知識で顧客に価値提供している人もいます。基本的にはロジックを疑いながら話を聞き、自分で調べて情報を確かめるようにしていました。
ビジネスモデルの確立
想いだけでは独立系FPのビジネスは成り立ちません。戦略的にマネタイズを工夫していく必要があります。
現在の日本では、稼いでいるFPの9割が保険屋さんです。
保険屋さんはとても価値ある職業ではありますが、僕は顧客のお金の悩みに幅広く対応したい気持ちがあったので、独立系FPとして投資・保険・不動産・税金・相続など幅広くビジネスとして取り組んでいくことに決めました。
証券マン、保険屋さん、不動産屋さん、税理士さんのように専門領域を絞る職業に比べ、独立系FPは勉強する領域が広いですが、お金の勉強が好きな自分にとっては全く苦ではありませんでした。
なにより、金融を網羅的に学ぶことで、部分最適ではなく「全体最適な資産形成の方法」を知ることができました。金融の各ジャンルを正しく組み合わせることで、生涯で数千万円は変わります。このコンサルティング手法は普通の保険屋さんや不動産屋さんにはできません。
そして、学んだ金融知識は自分や家族の資産形成にも大いに役立ちました。独立系FPは真剣に金融を学んでいくことでビジネスも加速し、自分の資産形成も上達するという一石二鳥の仕事だと思います。
また、一概に独立系FPといえど、いろんな稼ぎ方があります。主な収入源(稼ぎ方)は大きく5つです。
① 相談者の相談内容に回答してお金を貰う(時間給)
② 相談者にマネープラン表を納品してお金を貰う
③ 具体的な商品をご提案して企業からお金を貰う
④ 信頼できる提携先をお繋ぎして紹介料を貰う
⑤ お金に関するスクールを販売してお金を貰う
詳しくは、「独立系FPの収入源(稼ぎ方)って何?」をご覧ください。
本業と副業の両立はどうやって実現したか
独立系FPの副業をはじめた当時、僕は株式会社メドレーという医療系ITのスタートアップ企業で週5日働いていました。今となっては上場して大きな会社になっていますが、当時の従業員数は50名で、僕の主な業務は社長のアシスタントでした。
時間の捻出を工夫する
まず、副業で多くの人が苦労するのは時間の確保です。
そのために僕が決めていたのは「19時までに会社員の仕事を終わらせる」「23時までは家に帰らない」の2つです。
パーキンソンの法則で「仕事の量は完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」とあるように、仕事は意識的に終了時間を決めないとダラダラと過ごしがちです。
そのため、僕は19時にはオフィスを出ると決めて朝から仕事に取り組んでいました。間に合わなさそうな場合は出社時間を早めたり、お昼休みの時間を有効活用します。
できない理由をあげればキリがないですが、できる理由だけを考えて時間を捻出します。僕が働いてた会社は本質的なことを大事にする会社だったので良かったですが、無駄な残業や飲み会を推奨する会社で働いていたら転職していたと思います。
会社員としての就業後、家に直帰することはありませんでした。家に帰ると娯楽の誘惑が多く、自分に甘えてしまうからです。人間関係を広げる場に行くか、コワーキングスペースで仕事をする時間に充てました。
子育てをしている人は時間の確保がより難しいと思いますが、独立系FPの仕事は家庭を持つことで説得力が増すことも多いので、チャンスと捉えて取り組んでいくのがおすすめです。
本業の学びを副業に活かす
本業の仕事の時間が副業の足かせになってしまうのは勿体無いです。
僕は常に「本業でやっている業務を独立系FPの仕事に活かせないか」と考えて取り組んでいました。実際に、本業で学んだ知識を活かしてHPを作成したり、メール配信システムを作って副業の成果をあげていきました。
本業で学んでいる具体的な業務を他業界でも活かせるように抽象化して、副業の業務に転用していくイメージです。この感覚を掴むには細谷功さんの『具体と抽象』や前田裕二さんの『メモの魔力』という本がおすすめです。
本業で学べることがない場合、もし高給なホワイト企業でない限り、部署異動を希望するか転職を検討するのが良いと思います。週40時間以上を費やす本業で成長できない環境にいては、将来稼げない人になってしまうからです。
独立系FPを副業として捉えないマインド
副業を取り組むうえでのマインドセットもとても重要です。副業をサイドビジネスとして捉えていては上手くいかないため、副業ではなく「複業」として捉えて僕は独立系FPの仕事に取り組んでいました。
社外で職業を聞かれた時には「独立系FPです」と答えていました。芸人さんがアルバイトの収入の方が高くても「芸人やっています」と答えるのと同じです。
ビジネスメリットを考えたうえでの選択でもありますが、自分のアイデンティティをどこに置くかも重要だと考えていました。「副業」の感覚で独立系FPに取り組んでいる人は「月に5万円稼げれば良いかな」くらいの気持ちになりやすく、独立を目指す人にはおすすめしません。
独立を目指す人は「複業」または「本業」として捉えて取り組んでいきましょう。
苦労したこと、乗り越えた方法
独立系FPとして副業を始めた当初、一番苦労したのは「周囲からの反対」でした。
今となっては「嫌われる勇気」を持てていますが、20代前半は周りの目も気になる性格だったと思います。
当時(2015~2017年)は金融教育がほとんど普及しておらず、「投資の重要性」を友人に伝えるたびに「怪しい」と返されました。自分の中では確かな信念があったものの、まだ周囲からの否定を受け入れられる余裕はなく、つらい時期が2年ほど続きました。
そんな状況を乗り越えるきっかけになったのが、「自己理解」と「合理的思考」を深める取り組みです。
まず自己理解については、エニアグラム分析、ストレングスファインダー、そしてコーチングに100時間以上・100万円以上を投資し、「自分とはどんな人間なのか」を徹底的に研究しました。
この自己理解が深まるにつれて「自分は何をしている時が1番幸せなのか」「なぜこの事業に夢中になっているのか」「ネガティブな感情を抱いた時は何をすれば良いのか」が明確になり、人との関わりもずっと楽になっていきました。
また、「自信のあるロジックを周囲から反対された時はむしろチャンス」「頑張っている自分をバカにする人はそもそも友達ではない」などの合理的思考を身に着けたことで、周囲の反対意見はまったく気にならなくなり、自分の軸を持って生きられるようになりました。
そして今では、当時「怪しい」と言っていた友人たちが「先見の明があったね」と声をかけてくれるようになり、クライアントとして応援してくれる関係に変わりました。
独立後のライフスタイルの変化
副業から独立系FPをはじめて10年、起業してからは7年が経ちました。この10年で人生は本当に大きく変わりました。
独立系FPとして活動を始めたばかりの頃は、生活のために「やりたくない仕事」にも取り組まざるを得ませんでした。しかし今では「自分の成長につながる仕事」か「ビジョン実現に直結する仕事」に集中できる環境が整いました。
人間関係においても、仕事やプライベートで無理をするような人付き合いは1つもありません。共に働く独立系FP仲間たちや顧客も本当に素晴らしい方ばかりで、幸福度が年々増しているのを実感しています。
「本当に良いと思った情報」だけを仲間たちや顧客に届けられることが日々の仕事のやり甲斐にも繋がっていますし、時間や場所にとらわれずに働くこともできています。
そして、何より「日本一の独立系FP事務所」を作るというビジョンを持って、仲間たちと日々楽しく仕事に取り組めています。
いま幸福度高く仕事に取り組めているのは、副業時代にコツコツとスキルを積み重ねてきたお陰。そして未来の幸福度は今の積み重ねによって決まるため、これからも気を引き締めて仕事に取り組んでいきます。
いかがでしたか?
今回は『未経験から独立系FPで起業するまでの体験談』を書いてみました。独立系FPの仕事は感謝される機会が多く、やり甲斐もあって成長もできて収入も青天井です。独立系FPの働き方について興味のある方は、ぜひ他の記事もご覧になってみてください。
「未経験から独立系FPを育成する講座」の新規入会者も募集しております。僕や実際に独立系FPとして活躍する先輩が相談に乗りますので、ご興味のある方はお気軽にカウンセリングフォームからお申込みください。

