独立系FPビジネスに将来性はあるのか?

未経験から独立系FP(ファイナンシャルプランナー)を育成するワンクエスト代表の井 章弥です。
今回は「独立系FPビジネスに将来性はあるのか?」というテーマで解説していきます。
AIの進化により、さらに変化が激しくなっている時代。独立系FPビジネスに将来性はあるのでしょうか?
僕自身、ストレングスファインダー(自己分析ツール)において、1.未来志向・2.着想だということもあり、常に「この業界はどう変わるのか?」と未来を考えながらビジネスに取り組んできました。
ここからは、独立系FPとして10年間活動してきた経験をもとに「これからのFP業界」について、僕なりの視点でお伝えします。
過去5年間の変化
未来を語る前に、まずは過去の変化を振り返ってみましょう。
最も大きな変化は顧客のマネーリテラシー(金融知識)の向上です。
5年前と比べて、顧客とFPの間にあった「情報の非対称性」が小さくなってきました。
5年前までは顧客に「投資とは?」という基礎知識から伝える必要がありましたが、今では「投資を始めたいけど、どの商品が自分に合っているかわからない」というように、より具体的な相談が増えています。
これは投資だけではなく、保険や不動産の分野にも言えることです。
顧客のマネーリテラシー向上による影響
顧客のマネーリテラシーが上がっていくことは、独立系FPにとって大きな影響があります。さらにビジネスが加速するFPもいれば、廃業に追い込まれるFPもいます。
その差は何かというと「顧客にメリットのある提案ができているか」です。
FP側の儲けたい気持ちが強すぎたり、金融知識が乏しかった場合、顧客にとってデメリットの多い提案になってしまいます。
例えば、手数料の高すぎる商品を提案したり、良かれと思って提案したものが実は悪かったりする場合です。顧客のマネーリテラシーが上がるまでは、これでもビジネスが成り立っていましたが、倫理観や金融知識がないFPはビジネスを継続できない時代になりました。
一方で、昔から顧客にとって本質的に良い提案をしていたFPはより信頼され、ビジネスを拡大しています。
ビジネスを拡大できた独立系FPたち
例えば、僕らは10年前から「保険は掛け捨て」を推奨してビジネスを展開していましたが、顧客のマネーリテラシーが上がるにつれて、その考え方は認められていきました。
僕らが「保険は掛け捨て」を普及してきた自負はありませんが、ロジック的に正しいであろうポジションを取り続けたことで、顧客のリテラシーが上がった時代に利益を得ることができています。
もちろん保険に正解はありませんし、保障性の強い積立型保険が必ずしも悪いとは思いませんが、この積立型保険の考えに執着しすぎたFP(保険屋さん)は顧客から信用を失ってしまった場合が多いのも現実だと思います。
これは証券会社の回転売買や不動産仲介の両手取引にも言えることです。これも一概に悪いわけではないですが、顧客側にもFP側にもメリットのある正しいロジックでビジネス展開しなければ、信用を積み重ねていくことは難しいでしょう。
いまのFP業界
FP業界は健全な状態に変わってきていると思います。
正直、以前は「顧客が損をして、FPだけが得をする利益相反な業界」と思われても仕方がないような状況だったのですが、今は顧客もFPもWin-Winの関係でなければ成り立たないビジネスになってきました。
顧客は「本質」を見れるようになってきた
顧客はマネーリテラシーが上がっただけではなく、あらゆる面で本質を見極める力がついてきています。
例えば、金融は形のないビジネスであることが多いため、FPは「義理、人情、プレゼント」で顧客から信頼を勝ち取るのが主流でした。実際に職場にプレゼントを配り回る生保レディも多くいました。しかし、今ではこれが逆効果で敬遠されることもあります。
また、FPの見た目に嫌悪感を抱く人も増えました。「スーツをバシッと決めて、ジェルで髪を固める」男性FPが過去10年では主流でしたが、そのような(資産を増やすという意味においては)本質的ではないことにコストを割いても今は効果がありません。高級ブランドを身につけてブランディングするFPはむしろ顧客から嫌われるようになりました。
僕らも2019年からスーツをやめました。顧客からの印象やマナーは大切にしたいので、TPOに合わせてジャケットを羽織ることはありますが、身だしなみに必要以上のコストを割くことはありません。
ビジネスとしてコストを割くほど、顧客から手数料を頂かないとビジネスは成り立ちません。ケチるわけではなく、本質的なこと以外にはお金も時間もコストを割かない方が顧客のためになるということです。
時代が進むにつれ、このスタンスを理解してくれる顧客もどんどん増えてきているように感じます。
これからのFP業界はどう変わるのか?
いよいよ本題です。これからの独立系FP業界がどう変わっていくのか。
これまでは顧客の価値観の変化によるFP業界の変化でしたが、これから大きく影響を受けるのはやはり「AI」です。
AIがもたらすFP業界への影響
僕は日常的にAIを多用していますが、FP業界はAIの影響を受けづらい業界だなと感じています。
その1番の理由は、FP業界は「人の介在価値」が大きいからです。
約10年前にライフネット生命さんが注目されるようになって「保険はネットで入る時代がくる!」と思ったこともありますが、なんだかんだライフネット生命さんも苦戦している印象です。個人的にはライフネット生命さんの取り組みは好きなのですが、やはり保険・投資・不動産はFPがいるからこそ意思決定ができる商品だと感じます。
これからAIが進歩した時、人間ができるのは責任を取ること(土下座をすること)だと最近のメディアでは言われています。AIを活用したとしても「お金」に関する重要な判断を一人で行うのはリスクも心理的負担も大きいため、しばらくはFPの仕事は無くならないと思います。
さらに、顧客のお金の悩みは「複雑性の高い領域」です。お金のことは正解があるようで、それぞれの家族状況や将来プラン、お金に対する感性によって正解が変わります。顧客と信頼関係を築き、顧客自身が気づいていない潜在的な悩みとニーズまで引き出し、解決策を提案できるFPの価値は残るでしょう。
とはいえ凄いぞAI...
FP業界はAIの影響を受けづらいと書きましたが、FP自身がAIを使いこなせるかどうかは、ビジネスを展開していくうえで大きな鍵となります。
FP業界は営業が上手い人が多い一方で、ITリテラシーが低い人が多いです。営業力が無くてもITスキルで作業やマーケティングを効率化できている人はFP業界で活躍できています。それと同様に、AIを活用できるFPはどんどん活躍していくはずです。
具体的な戦略は控えますが、僕らもAIによってFP業界で大きく変えたい領域があります。
AIによってFPの職業が無くなることはないと思いますが、FP業界内の競争で生き残れるかどうかは別の話です。
僕は日本にFPが多すぎると感じていますし、実際にFPの数は減っていくと予想しています。倫理観や金融知識のないFPはこの先も淘汰され、優秀なFPが貢献していく顧客数は倍増していく未来になっていくと思います。
僕らが創っていく独立系FP業界
ここまでの話は「独立系FP業界」というよりも、「FPが関わる各業界(証券、保険、不動産)」の話に感じられたかもしれませんが、この先は僕が考える独立系FP業界の話をしていきます。
僕らは「投資だけ」「保険だけ」「不動産だけ」「税金だけ」に詳しいFPでは、本当の意味で顧客の課題解決することが難しいと考えています。顧客に最大限の価値を提供するには、総合的な金融知識を用いて各分野の強みを組み合わせることが大切です。
顧客は様々なお金の悩みを抱えて相談に来ます。例えば「お金を増やしたい」「税金を減らしたい」などです。
保険屋さんに相談すれば「保険で解決できますよ!」となり、不動産屋さんに相談すれば「不動産で解決できますよ!」と言われます。そういうビジネス構造だからです。
ただ、本当に顧客に価値を提供するには、顧客のあらゆる情報をヒアリングし、性格も察知したうえで「それであれば◯◯が良いと思いますよ!」とアドバイスする力が必要です。顧客にとっても、様々な選択肢がある中でベストな選択肢を選んでもらえた方が納得感があります。
僕らはこのスタンスで10年前から独立系FPとしてのポジションを取ってきました。お陰様で少しずつ共感してくれる顧客や仲間も増えてきました。きっと、この先も僕らのような独立系FPは顧客から求められていくと確信しています。
僕らは基本的に「未経験から独立系FPを育成する」ことをやってきましたが、最近は証券マンや不動産屋さんから独立系FPを目指したい!と問い合わせをいただくことも増えています。FPの各業界の人も1分野だけで顧客に貢献する限界を感じているのだと思います。
僕は独立系FPビジネスの価値と可能性がまだまだ広がっていくと日々感じています。
いかがでしたか?
僕が独立系FPとして10年間活動してきた経験をもとに『独立系FPビジネスに将来性はあるのか?』について解説してみました。これから、独立系FP業界はさらに面白くなっていきます。僕らには未来のイメージができています。もし独立系FPに興味のある方は、ぜひ他の記事もご覧になってみてください。
「未経験から独立系FPを育成する講座」の新規受講者も募集しております。僕や実際に独立系FPとして活躍する先輩が相談に乗りますので、ご興味のある方はお気軽にカウンセリングフォームからお申込みください。