独立系FPとIFAの違いは?どっちを目指すべき?

金融教育の会社を経営するワンクエスト代表の井 章弥です。
今回は「独立系FPとIFAの違いは?どっちを目指すべき?」というテーマで解説していきます。
近年、個人の資産運用やライフプランの相談に応じる専門家として「独立系FP(ファイナンシャルプランナー)」や「IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)」を目指す人が増えています。特定の金融機関に勤めず、独立した立場から顧客の相談に乗るという点では共通しています。
しかし、実際には両者の役割やビジネスモデル(収益構造)、求められる適性には大きな違いがあり、自分に合った道を選ばなければ、キャリア選択を誤ってしまう可能性があります。
本記事では、僕がこれまでに100人以上の独立系FPやIFAの方と話してきた経験をもとに、独立系FPとIFAの違い、それぞれのメリット・デメリット、どちらを目指すべきかについて詳しく解説します。
独立系FPとIFAの違い
金融業界の経験がないと違いがわかりにくいかもしれませんが、業務内容や顧客層には大きな違いがあります。ここでは、それぞれの特徴を詳しく解説していきます。
① 独立系FP(ファイナンシャルプランナー)とは?
独立系FPは顧客の資産運用だけでなく、ライフプラン全般の相談に対応する専門家です。主に以下のような業務を行います。
▼独立系FPの主な業務
・家計の見直し(収支バランスの改善、節約アドバイス)
・保険の見直し(必要な保障の提案、無駄な保険の削減)
・資産運用のアドバイス(投資信託、iDeCo、NISAなどの活用方法)
・住宅ローンの相談(最適な借り方や繰り上げ返済の方法)
・相続・税金対策(生前贈与や相続税対策のアドバイス)
▼独立系FPの収益モデル
・相談者の相談内容に回答してお金を貰う(時間給)
・相談者にマネープラン表を納品してお金を貰う
・具体的な商品をご提案して企業からお金を貰う
・信頼できる提携先をお繋ぎして紹介料を貰う
・お金に関するスクールを販売してお金を貰う
※詳しくは「独立系FPの収入源(稼ぎ方)って何?」をご覧ください。
独立系FPの主な顧客層は一般家庭です。経験豊富な独立系FPは経営者や富裕層を相手にすることもあります。
② IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)とは?
IFAは証券会社と業務提携を結び、主に金融資産運用のアドバイスを行う専門家です。証券会社に所属せず独立しているものの、提携先の証券会社の商品を取り扱う形になります。
▼ IFAの主な業務
・株式・投資信託の売買アドバイス
・ポートフォリオの管理・リバランスの提案
・富裕層向けの資産運用コンサルティング
・証券会社と連携した金融商品の提案・販売
▼IFAの収益モデル
・金融商品の売買手数料(株式や投資信託の売買時に発生)
・運用管理報酬(顧客の資産残高に応じたフィーを受け取る)
・成功報酬型のアドバイザリー契約(成果に応じた報酬を受け取る)
IFAは金融商品の提案を主な業務とするため、金融市場や投資に関する深い知識が求められます。
IFAの主な顧客層は富裕層です。資産運用が相談業務の中心となるため、十分な資産を持たない方を対応すると、ビジネスモデル上の採算が合わなくなります。
IFAになるには証券会社での営業経験がほぼ必須
IFAの業務は金融商品の販売や資産運用のアドバイスに特化しており、専門的な知識と実務経験が求められます。そのため、証券会社での営業経験がほぼ必須です。一部のIFA法人(IFAが集まる法人組織)では未経験者を受け入れるケースもありますが、金融業界の経験のある方が優遇される傾向にあります。
証券外務員資格が必須
IFAとして金融商品の提案や売買を行うには、証券外務員資格が必要です。証券外務員資格には一種と二種がありますが、IFAとして幅広い商品を扱うには、一種外務員資格が求められます。
証券外務員資格は個人で取得することも可能ですが、実際に金融商品の取り扱いを行うためには、証券会社やIFA法人に所属しなければなりません。そのため、証券会社での実務経験がなく、証券業界での人脈も少ない未経験者がいきなりIFAとして独立して成功するのは難しいでしょう。
証券会社での営業経験が求められる理由
IFAになるには、証券会社での営業経験が不可欠と言われるのには、以下の理由があります。
【顧客の資産運用ニーズを理解する必要がある】
IFAの業務は顧客の資産状況や投資目的に応じた最適な提案を行うことです。証券会社での営業経験があれば、富裕層の資産運用ニーズや投資戦略を学ぶ機会が多く、実践的な知識を身につけることができます。
【証券業界の実務スキルが求められる】
株式・投資信託・債券などの金融商品に関する専門知識はもちろん、実際の取引の仕組みや手続きにも精通していなければなりません。これらのスキルは、証券会社での実務経験を通じて習得するのが一般的です。
【顧客との信頼関係を築く営業力が必要】
IFAは独立して活動するため、証券会社のブランド力を頼ることができません。そのため、顧客との信頼関係を築く営業スキルが不可欠です。証券会社での営業経験があれば、顧客との関係構築のノウハウを身につけることができ、独立後の集客にもつながります。
【最初の顧客を作るのは難しい?】
法律や業界ルールによる制約があるものの、証券会社で勤務していた頃の顧客をIFAとして独立後の最初の顧客にするケースは少なくありません。法的にグレーでは?と感じることもありますが、それほど富裕層の新規開拓が難しいという現実を物語っています。
未経験者は独立系FPから目指すのがおすすめ
金融業界の未経験者がいきなりIFAを目指すのは現実的ではありません。まずは独立系FPとしてキャリアをスタートし、経験を積むことがおすすめです。
未経験でも始めやすい
独立系FPはライフプランの設計、保険、住宅ローン、税金対策など、資産運用以外の幅広い分野で顧客の相談に対応できます。これらの相談業務は未経験者でも馴染みのあるものが多く、仕事として始めやすいです。
【資格がなくても始められる】
証券外務員資格が必須なIFAと違い、独立系FPはFP資格がなくても活動を始めることが可能です。もちろん資格があれば信頼性は増しますが、まずは実務経験を積みながら学ぶこともできます。
【幅広い層をターゲットにできる】
IFAが主に富裕層を対象とするのに対し、独立系FPは一般家庭や個人事業主、中小企業の経営者など、幅広い層の顧客に対応できます。まずは自分の家族や友人に対しての相談業務からビジネスを始める方も多いです。
【紹介が出やすい】
顧客のお金に関わるものをすべてサポートしていくため、信頼関係を築きやすいのも独立系FPの強みです。満足度の高いアドバイスを提供すれば、家族や知人を紹介してもらえることも多く、新規顧客の獲得は難しくありません。
独立系FPとして経験を積んだ後、IFAを目指す道もある
金融業界の未経験者がIFAを目指す場合、いきなりIFAとして活動するのではなく、まず独立系FPとして経験を積むのが現実的なステップです。
▼独立系FPからIFAに転向するメリット
・ライフプラン相談を通じて、資産運用のニーズがある顧客とつながれる
・FP業務の中で証券の知識を学び、必要な資格(証券外務員資格など)を取得できる
・一定の顧客基盤を築いた上でIFAに移行すれば、収益の安定性を確保しやすい
このように、独立系FPとして経験を積むことで、IFAを目指す道も見えてきます。
証券マンが独立系FPを目指すのもアリ
IFAは証券会社の営業経験を活かせる職業ですが、証券会社出身者が独立系FPとして活動する選択肢も増えています。実際に弊社ワンクエストの独立系FPでも証券業界の出身者が複数人います。資産運用に特化するIFAとは異なり、独立系FPはライフプラン全般の相談に対応できるため、より幅広いニーズに応えられるのが特徴です。
特に、以下のような証券マンには独立系FPの仕事がおすすめです。
【手数料ビジネスに限界を感じている人】
証券会社での営業スタイルに疑問を感じ、もっと顧客本位のアドバイスを提供したいと考えている人。
【投資だけでなく、保険や不動産など幅広いコンサルティングをしたい人】
資産運用だけでなく、ライフプラン全般をサポートできる知識を身につけたい人。
【富裕層ではなく、一般家庭の金融リテラシー向上に貢献したい人】
投資経験の少ない人にも、お金の知識を広め、適切な資産形成をサポートしたいと考えている人。
まとめ:独立系FPとIFAどちらを目指すべきか?
▼こんな人は独立系FP向き
・未経験から着実にステップアップしていきたい
・投資だけでなく、保険・住宅ローン・税金対策など、ライフプラン全般をサポートしたい
・富裕層だけでなく、一般家庭の金融リテラシー向上にも貢献したい
▼こんな人はIFA向き
・証券会社での営業経験を活かし、富裕層向けの資産運用アドバイスを続けたい
・株式・投資信託・債券などの金融商品の提案を専門に行いたい
いかがでしたか?
僕が独立系FPやIFAの方とたくさん話してきた経験をもとに『独立系FPとIFAの違いは?どっちを目指すべき?』について解説してみました。独立系FPの働き方について興味のある方は、ぜひ他の記事もご覧になってみてください。
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