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独立系FP(お金の先生)という生き方

独立系FPの実務経験はどうやって積めばいいのか?

未経験から独立系FP(ファイナンシャルプランナー)を育成するワンクエスト代表の井 章弥です。

この記事では、僕が独立系FPとして約10年間、現場で培ってきたリアルな経験をもとに「独立系FPの実務経験」をテーマに解説していきます。

独立系FPを目指したいと考えた時に、記事などでよく目にするのが「実務経験が必要」という情報。様々な方法がありますが、僕が実践してきたり、おすすめしている実務経験の積み方を紹介していきます。

FP技能士の資格を取っている方や、これからフリーランスとしてFPの道を選ぼうとしている方には役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までお付き合いください。

身近な人のお金の相談に乗る

実務経験を積むうえで、最も手軽で効果的な方法のひとつが「身近な人のお金の相談に乗る」ことです。これは、実際の相談業務をシミュレーションできる貴重な場でもありますし、FPとしての第一歩を踏み出すきっかけにもなります。

「お金の悩み」を聞く

実はお金のことで困っている人はたくさんいます。けれども、日本では「お金の話はタブー」という文化が根強く、悩みを抱えていても誰にも相談できずにいる人が多いのです。

そんなとき、身近に金融知識を持った友人が相談に乗ってくれると喜んでくれる人たちがいます。

「最近、家計ってどうやって管理してる?」
「投資とか、何かやってる?」
「保険って、定期的に見直してる?」

と聞いてみると良いでしょう。「アドバイスしてあげよう」という上から目線ではなく「ちょっと興味があって聞いてみた」というスタンスで話しかけましょう。あくまで自然体で会話の中から話題を引き出すことがポイントです。

モニター相談を募集する

まわりの「お金の悩み」を聞けたら、「FP相談」のモニターを募集してみましょう。

直接的に友人にお声がけしても良いですし、SNS(XやInstagram)を通じて告知してもOKです。

【FPモニター相談募集】
現在、独立系ファイナンシャルプランナーとしての実務経験を積むため、無料または特別価格で家計相談・ライフプラン相談を行っています。ご協力いただける方は、お気軽にご連絡ください!

「あくまで練習中であること」を伝え、「個人情報の取り扱い」には配慮しましょう。

フィードバックをもらう

相談が終わったあとに、次のような質問をしてみるのもおすすめです。

「話しやすかった?」
「どこか分かりにくかったところあった?」
「他にもっと聞きたかったことある?」

このフィードバックは、自分の課題を見つけて改善していくうえで非常に参考になります。モニター相談ではアンケート形式にしてもよいでしょう。

金融機関に所属する

一度、金融機関で実務経験を積む方法もあります。特に「現場での顧客対応スキル」「金融商品の基本的な知識」「ビジネスにおけるお金の流れ」など、FPの土台となる力を効率よく身につけることができます。

銀行・証券・保険など、業種によって学べることが違う

金融機関といってもその種類はさまざまです。業種ごとの特徴と、FPとして得られる経験を簡単に整理してみましょう。

▼業種 得られる経験・スキル
銀行 → 預金・ローン・住宅購入・相続など、生活に密着した資金相談の実務経験
証券会社 → 投資商品の仕組みや提案スキル、リスク説明の実践
保険会社 → ライフプラン設計、保障の考え方、ニーズに応じた保険提案の経験
保険代理店 → 幅広い保険商品を扱う中で、比較提案力と販売スキルが磨かれる

どの業種でも共通して得られるのは、「実際の相談現場でお客様と話す機会」。これは、独立後に非常に大きな財産となります。

会社独自のスタイルに注意

一方で注意したいのが、「変なくせ」がついてしまう可能性です。

・特定の商品に偏った提案スタイルが身についてしまう
・ノルマ重視の営業マインドが抜けない
・顧客よりも売上を優先する習慣がつく

独立系FPは「中立・公平な立場でアドバイスする」のが最大の強み。金融機関の文化や販売方針に染まりすぎず、「将来は自分の軸でアドバイスするための経験」と割り切って働く意識が大切です。

ケーススタディで学ぶ

「仮想の相談事例を使って実践練習する方法」も有効です。

たとえば、以下のようなシナリオを自作することで練習が可能です。

【例1】30代共働き夫婦のライフプラン相談
・子どもが生まれたばかり。住宅購入と教育資金に不安あり
・今後の家計管理と保険の見直しもしたい

【例2】50代会社員の退職後資金相談
・退職まであと10年。iDeCoやNISAの活用について知りたい
・現在の資産状況から、老後に向けた資産形成を計画したい

こうしたケースを作成し、自分でヒアリング内容を想定して整理したり、提案内容をまとめたりすることで、実践的なスキルが身につきます。

ChatGPTを使って壁打ち練習

たとえばChatGPTに対して、「30代共働き夫婦の家計相談のシナリオを作って、あなたは相談者になってください。私はFPとして質問をしていきます。」というように入力すれば、リアルなやりとりを即座に始めることができます。

さらに、自分の回答に対して、
・「今の提案は分かりやすかった?」
・「他にもっと詳しく聞きたいことある?」
というやり取りを行うことで、一人でも実践的な練習が可能です。

先輩FPに同席させてもらう

現場に同行するのも貴重な実務経験となります。実際に活躍している先輩FPの相談業務に同席させてもらうことで、リアルな現場の空気を体感することができます。

同席のメリット

FP業務は、机上の知識だけでは分からない“現場ならではの感覚”があります。

・お客様との距離感の取り方
・難しい内容を噛み砕いて説明する技術
・本音を引き出すためのヒアリングの流れ
・提案後のクロージングの仕方

こうした“行間のスキル”は、現場でこそ学べるものです。実際の相談に同席することで「本番の温度感」をリアルに体感でき、自分の面談にも大きなヒントを得られます。

どうやってお願いすればいいのか?

先輩FPに同席をお願いする際は、以下のポイントを押さえると受け入れてもらいやすくなります。

① 目的をはっきり伝える
「独立に向けて実務経験を積みたく、勉強させていただけないでしょうか」

② 見返りを用意する(できれば)
・議事録作成や資料準備を手伝う
・SNSやブログで紹介(相手の許可があれば)
・勉強会やセミナーの運営サポートを申し出る

③ 個人情報の取り扱いに十分配慮する
・顧客情報の秘密保持を徹底する姿勢を見せることで、信頼が得やすくなります。

また、終了後に先輩FPに「どうしてあの提案をしたのか?」「お客様の反応はどうだったか?」など、振り返りの機会をもらうと学びが深まります。

オンライン相談にも同席できる時代

コロナ禍以降、FP相談のオンライン化が進んでいます。僕自身、独立系FPとしての活動はオンライン相談が8割です。Zoomなどのツールを使えば、遠方の先輩FPの相談にもリモートで同席できるため、地域を超えた学びのチャンスが広がっています。

SNSやFP関連コミュニティを通じて、「相談に同席させていただける方を探しています」と同席の機会を探してみるのも有効な手段です。

いかがでしたか?

独立系FPとして活動するためには、資格だけではなく、「実践での信頼」を積み上げていくことが重要です。この記事でご紹介した4つの方法は、どれも実務経験ゼロの状態からでも始められるものばかりです。ぜひ試してみてください。もし独立系FPに興味のある方は、ぜひ他の記事もご覧になってみてください。

「未経験から独立系FPを育成する講座」の新規受講者も募集しております。僕や実際に独立系FPとして活躍する先輩が相談に乗りますので、ご興味のある方はお気軽にカウンセリングフォームからお申し込みください。