独立系FPがサブスクで安定収入を得る方法

未経験から独立系FP(ファイナンシャルプランナー)を育成するワンクエスト代表の井 章弥です。
独立系FPとして活動していくうえで、多くの人が不安を感じやすいのが「安定収入を作れるかどうか」です。
独立系FPはフリーランスとして活動する人が多く、会社員のような毎月決まった給料はありません。案件ごとに報酬が発生する成果報酬型のビジネスモデルが一般的であるため、収入の波が激しく、精神的にも不安定になりがちです。
そのような状況の中で、どうすれば収入を安定させられるのでしょうか。本記事では、独立系FP歴10年の僕自身の経験も踏まえて、独立系FPがサブスクで安定収入を得るための現実的な方法について解説します。
サブスク型ビジネスとは?
「サブスクリプション(サブスク)」とは、商品やサービスを一定期間ごとに継続的に提供し、利用者から定期的に料金を受け取るビジネスモデルのことです。音楽配信のSpotify、動画配信のNetflix、さらには食材宅配やコスメの定期便など、私たちの生活に既に深く浸透しています。
サブスクの3つの特徴
- 継続収益性がある
毎月、毎年など定期的に収益が得られるため、売上の予測が立てやすくなります。 - 顧客との長期的関係が築ける
一度契約が成立すれば、解約されるまでは関係が継続するため、安定した信頼関係を構築しやすくなります。 - 初回売上に依存しない
一度限りの販売ではなく、時間とともに利益が積み上がる「ライフタイムバリュー(LTV)」が重要になります。
サブスク収入は魅力的な一方で、FP業界でこのモデルを導入しようとすると、いくつかの壁にぶつかります。
顧問契約でサブスクは難しい
サブスクリプションモデルに近い形として、ファイナンシャルプランナー業界では「顧問契約」が以前から存在します。これは、月額や年額で契約を結び、必要なときに相談を受けるというスタイルです。しかし、このモデルをそのまま「サブスク」として展開しようとすると、いくつかの障壁に直面します。
顧客のニーズが「一時的」になりがち
多くの相談者は、特定の課題(例:住宅購入、保険の見直し、相続対策など)が解決した時点で、FPとの関係を終了したいと考えています。「困ったときだけ頼む」傾向が強く、継続契約への心理的ハードルが高いのです。
継続的な価値提供が難しい
FPとしては、毎月一定のフィーをもらう以上、継続的に何かしらの「価値」を提供し続ける必要があります。しかし、顧客のライフイベントはそう頻繁に起こるものではなく、月ごとのテーマを無理やり捻り出すと、かえって関係性が崩れるリスクもあります。
契約更新・継続の心理的ハードル
1年更新などの顧問契約は、契約更新のタイミングで解約されるリスクが常につきまといます。「この料金に見合った価値があるか?」という問いが、契約者の頭に浮かびやすいため、リピート率が安定しません。
もちろん、信頼関係が築けていれば顧問契約が長続きするケースもあります。ただし、それはあくまで一部の顧客に限られた話であり、FP自身の営業力や人間関係の構築力に依存してしまうという問題もあります。
では、どうすれば現実的に「安定的なサブスク収入」を築けるのでしょうか?
実現可能なサブスク収入
顧問契約だけでは安定したサブスク収入を築くのが難しいとはいえ、ファイナンシャルプランナーにとっても実現可能な「継続収入モデル」は存在します。ここでは、具体的な2つのアプローチをご紹介します。
サブスク収入=不労働収入ではない
まず、前提としてお伝えしておきたいのは「サブスク=不労所得」ではありません。
たしかに、NetflixやSpotifyのようなサービスは、ユーザーが自動課金され、事業者は放っておいても収益が得られるように見えます。しかし、裏では常に新しいコンテンツ開発やユーザーサポートが行われており、まったくの「不労」ではありません。
FPのサブスクモデルでも同様で、顧客に継続して利用してもらうには、定期的な情報提供やサポート体制の整備が不可欠です。そのため、目指すべきは「完全に働かない収入」ではなく「労力を減らしながら安定して得られる収入」です。
①「預かり資産」を増やす
現実的なサブスク収入モデルは「AUM(Assets Under Management)」=預かり資産残高に応じた報酬モデルに取り組むことです。
金融業界に馴染みのない方は「そんな稼ぎ方があるの?」という感じかもしれませんが、証券業界でも保険業界でもこの報酬形態は存在します。海外であれば、よりこの報酬モデルが主流です。
顧客の投資資産を管理し、その残高に応じて年率0.5〜1.0%程度の報酬を受け取ることができます。
★メリット
・顧客が資産を持ち続けている限り、収入が継続する
・成果報酬ではなく、残高ベースなので安定性が高い
・顧客も「相談だけでなく管理までお願いできる」という安心感がある
▲注意点
・金融商品仲介業や投資助言業の登録が必要な場合がある
・市場環境により資産残高が変動するリスクがある
②「顧客数」を増やす
独立系FPは「顧客数を増やす」ことで、収益が高いところで安定していきます。それはマーケティングに困らなくなるからです。
厳密には、サブスク収入ではありませんが、マーケティングコストが0に近づくにつれ、収入はかなり安定します。小さい案件でも構わないので、まずは100人の顧客を獲得しましょう。
【小さな保険契約で「定期的な接点」を作る】
たとえば、掛け捨て保険をたくさんお預かりしていれば、1人のお客様から人生で何度も相談が来ます。結婚、出産、住宅購入、相続など、ライフイベントごとに保険の見直しが必要だからです。
【他の案件でもマネタイズしていく】
まず、何かしらの形で顧客になってもらえたら、他の分野でも顧客になってもらえる可能性が高いです。保険の顧客から不動産や投資の相談が来ることも頻繁にあるからです。そのためには、独立系FPとして様々なマネタイズ手段を持っておく必要があります。
詳細を知りたい方は『独立系FPの収入源(稼ぎ方)って何?』をご覧ください。
【紹介やリピートの仕組みを作る】
顧客数が多ければ、その分だけ紹介もたくさん生まれます。誠実に顧客に価値提供を続ければ、自然に紹介は生まれますが、それをより加速させるのがSNSやLINEの有効活用です。紹介を待つのではなく、どうしたら紹介やリピートをしてもらえるかを考えて、稼ぎ続けられる仕組みを作りましょう。
いかがでしたか?
独立系FPは収入が安定しないように思われますが、「預かり資産」と「顧客数」を追い続ければ、3年くらいで収入は安定していきます。具体的に「必要な資産額や顧客数」についても改めて発信します。もし独立系FPに興味のある方は、ぜひ他の記事もご覧になってみてください。
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