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独立系FP(お金の先生)という生き方

独立系FPの相談料はいくらに設定すべき?

未経験から独立系FP(ファイナンシャルプランナー)を育成するワンクエスト代表の井 章弥です。
今回は「独立系FPの相談料はいくらに設定すべき?」というテーマで解説していきます。

独立系ファイナンシャルプランナーとして活動を始めるとき、多くの人が悩むのが相談料の設定です。料金が高すぎると依頼が来ないのではないかと不安になり、逆に低すぎると自分のビジネスが成り立たなくなる可能性もあります。

特に、個人事業主の独立系FPは、報酬のすべてを自分で決める必要があります。そのため「適正価格」をどう考えるかは非常に重要です。本記事では、独立系FPが相談料を決める際に考慮すべきポイントや料金設定の具体的な方法について、独立系FP歴9年の僕の実体験も交えながら詳しく解説していきます。

独立系FPの相談料の相場とは?

独立系FPとして活動を始める際に、まず気になるのが「他のFPはどのくらいの相談料を設定しているのか?」という点です。業界の相場を知ることで、自分の料金設定の基準を持ちやすくなります。FPの相談料は大きく分けて以下の3つの形式で設定されることが多いです。

① 時間単位の料金

1時間あたりの料金を設定する方法で、最も一般的です。
・相場:5,000円〜20,000円/時間
・メリット:必要な時間分だけ料金を請求できる
・デメリット:相談が単発で終わる可能性が高く、継続収入につながりにくい

② プラン・パッケージ料金

複数回の相談、ライフプラン作成、資産運用アドバイスなどをパッケージ化する方法です。
・相場:30,000円〜100,000円(数回の相談+資料作成込み)
・メリット:まとまった収益が見込める
・デメリット:高額になるため、顧客獲得のハードルが上がる

③ 定額制(サブスクリプション)料金

月額または年額で一定の金額を支払い、定期的にFPのアドバイスを受けられる形式です。
・相場:月額5,000円〜30,000円
・メリット:継続的な収益が得られる
・デメリット:一定数の契約を獲得しないと安定収益にならない

相談料を決める際のポイント

ここまでは一般的によく言われる内容ですが、ここからは僕の経験を踏まえた本題に入ります。相談料を決める際のポイントは、次の2つの前提条件によって大きく変わります。

(1) 相談料だけで収益を上げる場合
(2) 他の収益源も確保している場合

この違いによって、適切な料金設定は大きく異なります。それぞれ詳しく解説していきます。

相談料だけで収益を上げる場合

相談料だけで安定した収益を上げ続けるためには、高単価の料金設定が必須です。低価格で多くの相談を受けるビジネスモデルでは、長時間労働に陥り、ビジネスとしての継続が難しくなってしまいます。

例えば、1時間あたり3,000円の相談料を設定し、1日3件対応した場合、収入は以下のようになります。
・1時間 3,000円 × 1日3件 × 20日勤務 = 月収18万円
・仮に30日フル稼働しても、最大月収27万円
このように、相談料のみで収益を上げる場合、稼働日数や単価によって収入の上限が決まってしまいます。

さらに、FPとしては以下のような相談業務以外の仕事も発生します。

◆集客・マーケティング(SNS運用、ブログ執筆、YouTube発信など)
◆顧客対応・アフターフォロー(メールやチャットでの質問対応)
◆資料作成(ライフプランシミュレーションや資産運用提案書)

こうした業務もこなしながら、1日3件以上の相談を受け続けるのは現実的に厳しいでしょう。

相談料のみで安定した収益を得るためには、最低でも1時間5,000円、できれば1万円以上の価格設定をする必要があります。

▼1時間あたり1万円の月収シミュレーション
・1時間1万円 × 1日2件 × 20日勤務 = 月収40万円
・1時間1万円 × 1日3件 × 20日勤務 = 月収60万円

1日2~3件の相談でも、十分な収益を確保できるため、労働時間を抑えながら高品質なサービスを提供できるのが大きなメリットです。

ただ、高単価のFP相談にお金を払う層は、ある程度資産を持っている人が多いため、以下のような層がターゲットになります。

▼高単価相談のターゲット層
・世帯年収1,500万円以上
・資産2,000万円以上

このような層は、お金に関する意思決定を慎重に行うため、質の高いコンサルティングに対して適正な対価を払う意識が強いのが特徴です。ただし、彼らが求めているのは単なる金融知識の豊富なFPではありません。専門性に加え、以下のような「人間的な魅力」も重要視されます。

◆ 的確なアドバイスを提供できる論理的思考力
◆ 信頼できる人間性・コミュニケーション力

この層は、ビジネス経験が豊富で、相手の本質を見抜く力がある人が多いです。そのため、FP側も単に知識を提供するだけでなく、信頼関係を築くスキルや、富裕層とのコミュニケーションに慣れていることが求められます。

「自分のレベルはまだ低いけど、高単価のFP相談を提供できるのか?」という疑問を持つ方もいるかもしれませんが、自分自身も一定の資産を持っている、または富裕層ビジネスの経験がある人は高単価のビジネスを構築しやすいです。

例えば、
◆ 自分自身が2,000万円以上の資産を運用している
→ 実体験に基づいたアドバイスができる
◆ 富裕層向けのコンサルティング業務を経験したことがある
→ 高額な相談を受ける心理を理解している

このような要素があると、最初から比較的スムーズにビジネスを軌道に乗せることができます。

もちろん、最初からすべての要素を持っている必要はありませんが、独立系FP自身が様々な資産運用を経験したり、富裕層と関わる機会を増やすことで、徐々に高額な相談料でも仕事を受けられるようになります。

他の収益源も確保している場合

独立系FPといえども、相談料以外に収益源を持っているケースは多いです。実際、多くのFPは相談業務単体ではなく、他のサービスやビジネスと組み合わせて収益を確保しています。

具体的には、以下などが挙げられます。
・相談者にマネープラン表を納品してお金を貰う
・具体的な商品をご提案して企業からお金を貰う
・信頼できる提携先をお繋ぎして紹介料を貰う
・お金に関するスクールを販売してお金を貰う

詳しくは「独立系FPの収入源(稼ぎ方)って何?」をご覧ください。

相談料以外の収益源を作れている人は相談料を無料に設定しても、年収1,000万円以上を稼げる可能性が十分にあります

独立系FP歴9年の僕のおすすめ

僕自身のコンサルティング経験と、多くの独立系FPを輩出してきた経験から考えると「相談料は無料~3,000円で始める」のがベストな選択です。

理由①:相談料を払う文化が日本に根付いていない

日本では、弁護士や税理士などの専門家に対しては相談料を支払う文化があるものの、FPにお金を払って相談するという習慣はまだ一般的ではありません。

例えば、保険代理店や銀行のFP相談は無料で受けられることが多く、一般の人にとっては「お金を払ってFPに相談する価値」がまだ浸透していないのが現状です。

▼よくある相談者の反応
「無料で相談できるところがあるのに、なぜお金を払わなければいけないの?」
「FPに相談したら何が解決されるの?」

こうした状況で、いきなり高単価な相談料を設定しても、相談のハードルが高くなり、なかなか依頼が増えません。

理由②:高単価相談のターゲット層を対応するのは難しい

独立系FPとしての経験が浅いうちは、知識やコンサルティングスキルが十分に備わっていません。その状態で高単価の相談料を設定すると、満足度の高いサービスを提供できず、クレームや評判の悪化につながるリスクがあります。そもそも集客がうまくいかず、相談のお申込みさえ獲得することができません。

独立系FPビジネスにおいて最も重要なのは「信用」です。一度信用を失ってしまうと、その後のビジネスは厳しいものになります。逆に、金額以上の価値を提供し続ければ、収益を上げることは難しくありません。まずは信用を守ることを最優先にし、無料や少額の相談料で実践経験を積んでいきましょう。

いかがでしたか?

僕が独立系FPとして9年間活動してきた経験をもとに『独立系FPの相談料はいくらに設定すべき?』について解説してみました。独立系FPの働き方について興味のある方は、ぜひ他の記事もご覧になってみてください。

また、「未経験から独立系FPを育成する講座」の新規入会者も募集しております。僕や実際に独立系FPとして活躍する先輩が相談に乗りますので、ご興味のある方はお気軽にカウンセリングフォームからお申込みください。