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独立系FP(お金の先生)という生き方

独立系FPに営業スキルは必要?

未経験から独立系FP(ファイナンシャルプランナー)を育成するワンクエスト代表の井 章弥です。
今回は「独立系FPに営業スキルは必要?」というテーマで解説していきます。

特定の金融機関に所属することなく、中立的な立場からお金のアドバイスを行う独立系FPは最近人気の職業になりつつあります。

一方で、営業経験のない方は始める前に不安を感じる人が多いのも事実です。

一般的に「営業が上手=仕事が取れる=成功できる」というイメージがあります。特にFP業界では、営業力こそが最も重要なスキルとされてきた背景もあります。

しかし、実際に独立して活動しているFPの中には営業が苦手だったり、人付き合いが得意ではなかったりしても十分に成果を上げている人が多くいます。営業力が無いとダメなのか?それとも他の力で補えるのか?

本記事では、「独立系FPに営業スキルは必要なのか?」というテーマについて、僕自身の経験や周囲の事例を交えながら、リアルな視点で解説していきます。

営業スキルはあった方が当然良い

結論から言えば、営業スキルは「あるに越したことはない」スキルです。特に独立系FPとして活動を始めたばかりの頃はまだ口コミや紹介が少なく、自分自身で集客から提案までを行う必要があります。そんなとき、営業スキルは非常に大きな武器になります。

クライアントとの最初の接点で差が出る

どれだけ金融知識に自信があっても、それを最初に伝える場面がなければ意味がありません。営業スキルがある人は、相手のニーズをうまく引き出したり、自然な流れで自分の強みや提供価値を伝えるのが上手です。

また、相手の立場に立った「聞く力」が強い人は、顧客の信頼を得やすく、結果的に契約率も高まります。初回相談の段階で、相手に安心感を与えるような立ち回りができる人は、それだけで大きなアドバンテージを持っていると言えます。

営業=売ることじゃなく、信頼を作ること

営業とは単に「モノを売る」ことではなく、「信頼関係を築くこと」と言い換えることもできます。FP業はお金という非常にプライベートなテーマを扱うため、相手との信頼関係がなければ深い話ができません。

その点で、営業スキルの中でも「相手の不安を汲み取る」「先回りして提案する」といった心理的アプローチは非常に重要です。たとえば「何を聞かれるのか不安だったけど、話しやすかった」「この人なら相談しても大丈夫だと感じた」と思ってもらえるだけで、次のステップに進む可能性が高まります。

紹介(リファラル)を得やすくなる

営業スキルがある人はクライアントからの紹介を生み出すのも上手です。満足度の高い対応をすることで「この人を紹介したい」と思ってもらえる確率が上がります。紹介によって新たなクライアントが来れば、広告費もかからず、安定した集客につながります。

特にFP業界では「信頼の連鎖」が強力な武器になります。友人や家族に紹介してもらえるような関係を築くには、単に知識だけではなく、人柄や対応力といった営業的な要素が求められます。

でも実は、営業スキルがなくても成功している人は多い

ここまで、営業スキルの重要性について述べてきましたが、実際のところ「営業が苦手でも成功している独立系FP」は数多く存在します。僕自身も営業スキルには自信がないですし、周囲にも営業スキル以外で成果を上げている人がたくさんいます。

それはなぜ可能なのか?その理由をいくつかの視点から解説していきます。

「金融知識」で信頼されれば契約につながる

FPの仕事はクライアントのお金に関する悩みや不安を解決することです。つまり、本質的には「営業」よりも「専門知識」に重きが置かれる職業です。

実際に、アメリカでは医師や弁護士と並ぶくらいに独立系FPは社会的地位が高い職業だとされていて、医師や弁護士と同様に営業力は無くても仕事として成り立つ職業です。

たとえば、保険の見直し、資産形成、住宅ローン、老後資金などの相談に対し、倫理観を持って的確なアドバイスができる人はそれだけで信頼を得ることができます。

営業スキルを活用せずとも「この人ちゃんと分かってるな」「安心して任せられそう」と思ってもらえれば、それは自然と契約につながります。

よくある誤解に「売り込まないと契約してもらえない」というものがありますが、実際には「売り込まずに信頼されること」の方が、長期的にはずっと強い武器になります。

営業スキルのある人は金融知識が浅い場合も..

実は、コミュニケーション能力が高く、営業トークが上手な人ほど、金融の知識が浅いケースが少なくありません。もちろん全員がそうとは限りませんが、営業に自信がある人は「知識より関係性で勝負できる」と思ってしまい、勉強を後回しにしがちです。

逆に、営業が苦手な人ほど「せめて知識では負けたくない」と考え、専門性を高めていく傾向があります。その結果、コツコツ努力してきた人の方がクライアントからの信頼を長く得られるケースが多いです。

表面的な会話やトークが苦手な顧客も多いですし、本質的な知識と誠実な対応は時間が経つほどその価値が増していきます。

独立系FP歴10年の僕も営業スキルでは勝負していない

実際、僕自身も内向型タイプで雑談も得意ではありません。新しく友人を作っていくよりも、数少ない友人たちと深い人間関係を築いていくタイプです。

その代わり、他のFPよりも金融知識を磨くこと、そして一人ひとりのお客様に価値ある時間を提供することに徹した結果、少しずつ信用してくれる人が増え、多くのクライアントに恵まれるようになりました。

また、僕の周囲の独立系FPにも「営業が得意ではないけど誠実で結果として信頼されている人」が何人もいます。むしろ、口数が少なくても「この人なら安心して任せられる」と思わせる空気を持っている人の方が安定して成功している印象があります。

「話が上手=売れる」ではない時代。本質を磨き、信頼を得るスタイルで成功する独立系FPはこれからも増えていくはずです。

大事なことは「マイナス」を無くすこと

営業スキルが無くても成功している独立系FPは多いとはいえ、何も準備せずにうまくいくわけではありません。

営業が苦手な人でも大切にすべきことは「マイナス評価を受けない」ことです。

営業が苦手な人は「プラスを増やす」よりも、まず「マイナスを減らす」こと。信頼されるために必要な最低限のポイントは押さえておく必要があります。

礼儀作法や清潔感、第一印象は超重要

営業が得意な人にとっては当たり前のことかもしれませんが、初対面の印象は非常に大切です。
専門知識があっても、服装がだらしなかったり、態度が横柄だったりすると、それだけで信頼を失ってしまいます。

たとえば以下のような点は「営業が苦手」な人ほど意識しておきたい基本です

・清潔感のある服装
・丁寧な言葉づかい
・相手の話を遮らず、ちゃんと聞く姿勢
・笑顔や適度なアイコンタクト

こうしたポイントを意識するだけで、相手からの「この人、ちゃんとしてるな」という評価を得られやすくなります。

後天的に伸ばせるスキルを磨いていきましょう

礼儀作法や見た目の清潔感、そしてコミュニケーション術(話し方・聞き方)といった要素は、生まれ持ったセンスではなく、後から勉強して身につけられるスキルです。実際、僕の独立系FP仲間達も「最初はできなかったけど、実践しながら少しずつ慣れていった」と口を揃えて言います。

そして、それらを“得意”になる必要はありません。人並み程度にできれば十分です。大事なのは「相手に不快な思いをさせないこと」と「安心感を与えること」。完璧を目指さなくても、誠実に対応する姿勢が伝われば、それだけで信頼は築けます。

SNSやAIが営業力を補ってくれる?

5年前まで、独立系FPとして成功するには知識や誠実さだけでなく「営業力」が不可欠とされていました。顔が広い人、トークがうまい人がどんどん契約を取っていくような時代でした。

しかし、今は時代が大きく変わりました。SNSやAIなどのデジタルツールを活用することで「営業が得意じゃない人」でも、集客・信頼構築・契約までを自然な形で進められるようになってきています。

内向的な人でも戦える時代に

現在では、集客も営業も「対面トーク」だけに頼る必要はなくなっています。

【 SNSの活用で知識や人柄を発信する時代】
たとえばX(旧Twitter)、Instagram、YouTube、ブログなどで自分の考え方や金融知識を発信すれば、共感して相談したいと思ってくれる人が自然と集まってきます。

・「この人、話しやすそう」
・「丁寧な発信に安心感がある」
・「無料情報だけでも学びになる」

こう感じてもらえれば、DMや問い合わせから自然と面談の依頼が入ります。営業トークを仕掛けなくても「相談したくなる空気」をSNSで作ることができます。

【AIの活用で営業文・資料作成・情報整理が簡単に】
さらに今は、AI(たとえばChatGPTなど)を活用することで、次のような営業活動を手助けしてくれます。
・クライアント向けの提案書や案内文を効率よく作成
・難しい金融用語をわかりやすく翻訳、説明
・SNS投稿のネタ出し、ライティング補助

こうしたツールを使えば「文章が苦手」「何を伝えればいいかわからない」といった悩みもかなり軽減されます。営業スキルの代わりに仕組みでカバーできる時代になりました。

「会わなくても信頼される時代」にどう乗るか

昔は「会って、しゃべって、仲良くなって、契約する」が王道でしたが、今は「会う前に信頼される」仕組みを作ることが可能です。

SNSで人となりを伝え、AIで伝え方を整え、営業が苦手な人でも無理せずに仕事をつくれる環境が整ってきています。積極的に活用していくことがおすすめです。

いかがでしたか?

僕が独立系FPとして実際に大切にしていることや周囲の事例をもとに『独立系FPに営業スキルは必要?』について解説してみました。もし独立系FPに興味のある方は、ぜひ他の記事もご覧になってみてください。

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