BLOG 日本にお金を学ぶ文化を創る
独立系FP(お金の先生)という生き方

独立系FPが身につけておくべき「お金以外」のスキル

未経験から独立系FP(ファイナンシャルプランナー)を育成するワンクエスト代表の井 章弥です。
今回は「独立系FPが身につけておくべき"お金以外"のスキル」というテーマで解説していきます。

独立系ファイナンシャルプランナー(FP)として活動する上で、最も重要なものはもちろん「お金に関する専門知識」です。ライフプラン設計、保険、投資、税金、相続…。FPは幅広い知識を活用し、クライアントの人生に寄り添いながら最適な提案を行います。

しかし、金融の知識が豊富でも「事務処理が遅い」「信頼されない」「SNSが全く使えない」といった理由で、なかなか成果に結びつかないFPも少なくありません。

こうした現状をふまえ、ワンクエストの独立系FP育成プログラムでは、金融知識の習得はもちろんのこと「お金以外」のスキル習得にも力を入れています。

実務に直結するマーケティングやコミュニケーション、ITスキル、さらにはAI活用まで、多様なスキルを総合的に学ぶことで、実際に「選ばれるFP」になるための力を育てています。

この記事では、そうした現場で本当に求められる「お金以外のスキル」にフォーカスし、それぞれの具体的な内容と学び方をご紹介していきます。

FPとして自立・独立を目指す方、あるいは今より一歩先へ進みたい方は、ぜひ参考にしてください。

マーケティングスキル :「知ってもらう」

いくら金融の知識が豊富でも、まずは自分の存在を知ってもらうことができなければ、何も始まりません。

ここで重要になるのが「マーケティングスキル」です。特に近年では、SNSやWebを活用した個人ブランディング・集客が欠かせない要素となっています。

SNS運用

ワンクエストの多くの独立系FPが活用しているのが、Instagram、X(旧Twitter)などのSNS。無料で使えるうえに、ターゲットとなる顧客層に対してダイレクトに情報を届けられるのが魅力です。

SNSは始めてすぐに成果が出るものではありませんが、継続して発信し、フォロワーとの関係を深めていくことで、やがては「信頼されるFP」としての立ち位置が確立されます。

ワンクエストではインフルエンサーも多数在籍しているため、発信活動のコツをお伝えしています。

顧客からの紹介

SNSや広告で集客するのも効果的ですが、最も成約率が高く、長期的な信頼関係につながりやすいのが「紹介」です。

紹介は既存のクライアントや知人との間に築いた信頼がベースにあるため、最初からある程度の信頼を得た状態でスタートできます。いわば“信用を借りる”マーケティングです。

紹介を貰えるようになるのには、いくつか押さえるべきポイントがあります。

例えば、顧客が「紹介したい」と思う時の心理を理解すること。自分が飲食店やサービスを友人に紹介した経験を思い返すとヒントが見えてくるかもしれません。

また、独立系FP自身が「紹介されるに値する人間」であることも重要です。身嗜みや言葉遣いのマナーを身につけることは最低限の条件で、そのうえで自慢したいと思われるような人格者でならなければいけません。そのためには自己理解や強みの活かし方を学んでいく必要があります。

詳しくは「独立系FPの集客を成功させる方法」をご覧ください。

提携先との協業

自分で集客の手間を省きたい場合は提携先を作り、ご紹介を受ける方法もあります。

・相性の良い職種
・影響力のあるインフルエンサー
・Webサービスの業者さん

上記のような方々からご紹介を貰える可能性があります。もちろん、提携先に面談ベースか成約ベースで報酬をお支払いする必要はありますが、コンサルティングスキルに自信がある人は効率が良いかもしれません。

コミュニケーションスキル:「本音」と「行動」を引き出す

独立系FPの仕事は、ただ金融知識を伝えるだけではありません。相談者の人生観や価値観、未来への不安などを丁寧に聞き取り、その人にとって最適な選択肢を共に考える伴走者となることが求められます。

そして、情報提供だけで終わらせず、実際にクライアントが「行動」するまで導くコミュニケーションの技術が必要になります。

表面的な悩みの「奥」にある本音を聞き取る

多くの相談者は、「家計を見直したい」「保険のことがよく分からない」など、表面的な相談内容を持ってきます。しかし、これらの悩みの裏側には、「将来が漠然と不安」「子どもの教育にお金が足りるか不安」などの深層的なニーズが隠れています。

▼ヒアリングのポイント
・「なぜそう思ったんですか?」など、深掘りする質問を意識する
・相手のペースに合わせて話を聞き、無理に解決策を急がない
・メモを取りすぎず、目を見て話すことで信頼関係を築く

相談者が「実際に動ける」ように促す

FP相談のゴールは知識を提供することではなく、クライアントが「具体的な行動を起こす」こと。つまり、行動変容を引き起こすコーチング的アプローチが鍵になります。

● 行動につながる声かけ例
「これなら来月から始められそうですか?」
「今、何が一番のハードルに感じますか?」
「じゃあ、まず最初の一歩として○○から始めてみましょうか」

行動を促すには「具体的な提案」が必要です。お金のことは正解がないという前提はありつつも、独立系FPが相談者に寄り添ったうえで、行動提案をしてあげることは重要です。

パソコンスキル :「効率化」は信用につながる

独立系FPは、相談業務だけでなく、資料作成、スケジュール管理、顧客対応、SNS運用など、すべてを自分でこなす必要があります。

だからこそ、パソコン操作に関する基本的なスキルを身につけておくことは、業務効率を大幅に高めるだけでなく、クライアントからの信頼にもつながります。

ここでは、最低限押さえておきたい3つのスキルを紹介します。

ブラインドタッチ

「ブラインドタッチ」とは、キーボードを見ずに文字を打つ技術のことです。一見地味ですが、メール返信、資料作成、メモ取りなど、あらゆる場面で使うため、FP業務の土台を支えるスキルと言っても過言ではありません。

▼習得のメリット
・タイピングスピードが上がり、作業時間を大幅に短縮できる
・キーボードを見ずに相手の目を見て話せる → 信頼感UP
・思考と表現のタイムラグがなくなり、アイデアをすぐに言語化できる

▼学習方法
・「e-typing」や「寿司打」などの無料タイピング練習サイトを活用
・1日10分でも継続すると、1ヶ月ほどで劇的に上達する

ショートカットキー

ExcelやWord、ブラウザ操作などでショートカットキーを使いこなすと、作業スピードが2〜3倍になることもあります。小さな積み重ねが、年間で見ると数十時間分の業務短縮につながります。

ワンクエストでは独立系FPが業務で使うべき「ショートカットキー」や「パソコンの初期設定」からお伝えしています。

Excel(スプレッドシート)の基本操作

FP業務では、ライフプラン表やキャッシュフロー表、老後資金のシミュレーションなど、数字をわかりやすく可視化する作業が求められます。そのため、Excelの基本操作は必須です。

▼実務での活用例
・毎月の家計表をExcelで共有し、改善点を可視化
・教育費や住宅ローンの推移をグラフ化して説明
・目標資産の達成シミュレーションを組む

パソコンスキルは「見栄えの良い資料を作る」ためだけではなく、「素早く・正確に・伝わる形で情報を届ける」ための実用的な武器です。

また、コンサルティング時にパソコン操作がスムーズだと、それだけで信頼感の向上にもつながります。逆に、パソコン操作でもたついていると、それだけで信頼を失うケースもあるので注意しましょう。

AIスキル:ビジネスを加速させる

近年、ChatGPTをはじめとするAIツールの進化により、個人でも高度な業務を効率的にこなせる時代になりました。
独立系FPにとっても、AIは「脅威」ではなく「味方」として活用できる存在です。時間を節約し、質の高い提案を生み出すためのパートナーとなります。

ここでは、FP業務で使える具体的なAI活用法を4つご紹介します。

 ChatGPT

ChatGPTのような生成AIは以下のような文章作成が得意です。

・提案書の構成案や言い回しの確認
・ブログやSNS投稿のネタ出し&下書き作成
・メール文章やクライアント向けの解説文の作成

あくまで「補助的な役割」として使い、最終的なチェック・仕上げは自分で行いましょう。

金融知識の深掘り

新しい制度(例:新NISA、iDeCoの改正、税制変更など)や時事ネタに関する情報収集も、AIを使うと時短になります。

▼使い方の例
・「2025年のNISA改正ポイントを簡単にまとめて」とAIに依頼する
・「若年層向けの資産形成プランの傾向」など、リサーチ補助に活用

これにより、クライアントとの会話の中で最新情報をわかりやすく説明する力が身につきます。

画像生成・資料デザイン

情報を「視覚的に伝える」力も、今の時代のFPには必要です。Canva(キャンバ)や画像生成AIを使うことで、プロのような資料やSNS投稿画像を簡単に作れます。

▼活用例
・ライフプランのスライド資料
・Instagramの投稿テンプレート
・セミナー告知画像

自動化・連携ツールとの組み合わせ

AIを単体で使うだけでなく、Notion、Googleスプレッドシート、Zapierなどのツールと組み合わせることで、業務をより一層自動化・効率化できます。

▼活用例
・相談予約が入ったら、自動でGoogleカレンダーに登録
・入力フォームと連動して、クライアント情報を整理
・ChatGPTと連携して、特定のキーワードが入ったメッセージへの返信を自動化

こうした「ノーコードツール+AI」の活用は、時間を節約するだけでなく、ヒューマンエラーの防止や品質の平準化にもつながります。

また、AIの進歩により独立系FP業界は大きく変わると思います。独立系FPの未来について洞察を深めたい人は「独立系FPビジネスに将来性はあるのか?」もご覧ください。

いかがでしたか?

独立系ファイナンシャルプランナー(FP)として成功するために必要なのは、金融の専門知識だけではありません。
むしろ、これからの時代に必要とされるのは「お金の話を超えて、人の人生に寄り添える力」です。もし独立系FPに興味のある方は、ぜひ他の記事もご覧になってみてください。

「未経験から独立系FPを育成する講座」の新規受講者も募集しております。僕や実際に独立系FPとして活躍する先輩が相談に乗りますので、ご興味のある方はお気軽にカウンセリングフォームからお申込みください。